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「すみません」より先に、数字を出す。
「状況は?」と聞かれた瞬間、謝罪文ではなく“稼働率98.7%”を送った。
元社長として痛感したのは、謝罪は安心を生まないという事実。欲しいのは「今どうなのか」「どれくらいで戻るのか」「自分は何をすればいいのか」の3点だ。
そこで導入したのが、顧客にも社内にも同じKPIを見せる公開ダッシュボード。以降、クレームは半減し、会話は原因探しから再発防止へ切り替わった。

こんな人に読んでほしい
- 障害時にメールと電話対応が雪だるま式に増える経営者・責任者
- “謝罪→説明→再発防止”の長い文書が毎回テンプレ化しているチーム
- 現場の復旧作業を止めずに、顧客の不安を早く下げたい人
この記事で伝えたいこと
- 「謝る」より「見せる」が早い——情報非対称を潰すという視点
- 公開ダッシュボードの最小構成(KPI・閾値・更新頻度・窓口)
- 明日から使える“公開アナウンス文”と“初動メッセージ”
1. ダッシュボード公開との出会いで変わったこと
以前の私は、障害時に長文メールを書いていた。だが顧客から返ってくるのは「で、今は動くのか?」の一言。
視点を変え、顧客と社内が同じ数字を見る運用へ。公開したのは次の4項目だけだ。
- 稼働率/応答時間:直近1時間と24時間の実測(目標値と閾値を併記)
- 影響範囲:どの機能/地域/アカウントに影響中か(○/△/×で明示)
- 次回更新時刻:「次は◯:◯◯に更新」の予告(自動更新でなくても良い)
- 連絡窓口:緊急/通常/相談の3種だけに分けた受付リンク
導入初月から、同一案件に対する問い合わせ件数が約50%減。現場は復旧に集中でき、顧客は“待つ理由”を理解してくれた。
2. 比べないことが教えてくれたもの
他社の立派なステータスページを真似るより、自社の意思決定に必要な最小の数字を決めるほうが効いた。元社長の私は、「安心の文章」より「判断材料」が欲しかっただけだと気づいたからだ。
- KPIは3つまで:稼働率/応答時間/影響ユーザー数
- 色は3色だけ:緑=OK、黄=注意(迂回策あり)、赤=障害(迂回必須)
- 履歴は7日分:“回復の実績”が見えると安心が戻る
比べない設計は、運用が軽い。軽い運用は継続する。継続こそ信頼だ。
3. それでも前に進む理由(公開アナウンス&初動メッセージ)
公開アナウンス(メール/5行)
件名:[可視化開始] 稼働状況ダッシュボード公開のお知らせ
1 稼働率/応答時間/影響範囲をリアルタイムでご確認いただけます
2 閾値を下回ると黄/赤で表示し、迂回策も同ページに記載します
3 次回更新時刻も明示します(自動更新が止まる場合は手動更新)
4 緊急/通常/相談の窓口を3つに整理しました
5 ご意見は本メールへ返信ください(改善に反映します)
障害発生時の初動メッセージ(60秒)
「現在応答時間が閾値を超過(黄)しています。
迂回策は“手動エクスポート”です(リンク)。
次回更新は10:30。改善見込みは10:45に再掲します。
進捗はダッシュボードに集約しますので、個別返信は復旧後にまとめます。」
まとめ
- 謝罪文より“見える化”——数字で不安を半減させる
- KPI/閾値/更新時刻/窓口の4点があれば回る
- 比べずに続く運用を——軽い設計が信頼を作る
次回予告
vol.69『問い合わせが減らない本当の理由——“予防QA12本”で電話が静かになった夜』
次回は、謝罪後の“同じ質問ループ”を断ち切った方法。予防QAの作り方(テーマ選定・見出し・回答の粒度)と、公開後2週間で問い合わせが半減した実装を公開します。
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